かつては一億総中流、最も成功した社会主義国家なんてジョークの題材にもされていた日本ですが、それも今は昔の話となっています。
冷戦の終結に伴う社会主義勢力の崩壊により、世界は急速に先鋭化された新自由主義とグローバル化への道を突き進み、日本人もまたその影響を受けて厳しい競争社会で生きることを余儀なくされました。
その結果、今では日本人の5人に1人が何らかの心の病を患う時代です。
うつ病の増加は深刻な問題
なかでもうつ病の増加は深刻な問題で1993年には13万人だった患者数が、20年後の2013年には70万人を突破しています。
これはあくまでもメンタルヘルスクリニックなどを受診した人間に限った話なので、実際の患者数は100万人を超えているでしょう。
日本の労働人口は6500万人前後なので、もはや心の病は個人の問題ではなく社会全体で対応していかなければいけない、重要な社会問題です。
理想は職場環境を改善することで、そもそも心の病を患わないようにすることですがこれは簡単なことではありません。
元々労働は精神的疲労や仕事の重圧によってストレスを生み出す性質を有しているからです。
そこで大切になってくるのが次善策である「うつになってしまった後の対応」だと言われています。
うつの社員をどのように復職させていくか?
特に重要なのがうつで業務を続けることが出来なくなり、仕事を休むようになってしまった社員をどのように復職させていくかという問題です。
この問題に上手く対処出来なければ休職している社員は、やがて退職することを余儀なくされ経済的に困窮し、やがては生活保護などに頼ることになります。
また企業にとっても人手不足の時代に、それまで時間とコストをかけて育成してきた社員が退職してしまうことは、大きな損失です。
心の病で休職していた社員を復帰させる時に最も大切なことは、復職の可否の判断です。
本当に職場に復帰させても大丈夫な状態であるかの見極め、これがポイントです。
突然受注がストップして工場が暇になってしまったといった、特別な理由でもない限りは企業側は1日でも早く休職している社員に復帰してもらいたいと考えています。
その結果として十分に回復していない状態で職場に戻してしまい、うつ病が再発し退職となるケースはとても多いです。
復帰させる際は企業や社員だけで判断せず、カウンセラーなどの専門家の意見を聞くことをおすすめします。
仕事量や残業時間を減らすといった配慮も必要
また再発を防ぐには仕事量や残業時間を減らすといった配慮も必要です。
人間関係がストレスの原因であった場合はそれまでの部署から異動させるなどの対応を行いましょう。
この時に大切なのは復帰した社員だけでなく、その周囲で働く上司や同僚にまで気を配るということです。
精神的に病んでしまった社員をフォローすることは、企業の成長のためにも社会を維持するためにも必要なことですが、休職者が休んでいた間も働いていた他の社員からすると、「こっちは毎日残業してるのに、どうして休んで職場に迷惑をかけた人間の仕事が楽になるんだ」と不公平感を感じてしまいがちです。
こうなると今度は周囲の白い目に耐えられなくなって、社員は会社を去ってしまいます。
うつ病になってしまった社員が現れた時は、病気になった人間だけを特別扱いするのではなく、それをきっかけとして職場全体の残業時間を減らすなどして労働環境全体の改善を目指しましょう。
参考:うつ 復職 部署移動
まとめ
企業がうつ病対策を行うことは決して簡単なことではなく、時間もコストも必要になりますが現代の若者は給料などよりも労働環境を重視する傾向にあるため、長期的に見ればこうした改善は優れた人材を獲得し企業が発展していくのに役立つ、意味のある投資となります。
積極的に取り組んでいき誰もが働きやすい社会を目指しましょう。