浜松と二分する宇都宮餃子の人気の秘訣とは?
宇都宮が餃子の街として知られるようになってから久しいものがあり、浜松との餃子バトルも話題になり毎年勝負の行方が取り沙汰されては、二つの都市の餃子人気がうなぎのぼりとなっています。
デパートの物産展でも双方の都市から名店が出店して行列をつくる光景が目立つようになっていますが、見た目はともかく双方で味わいがいくぶん違ったものになっていることはあまり知られておらず、明確な違いに関しても詳しい点まで熟知している人はさほど多くないのが現状です。
ニュース番組などで解説される違いでは、焼きたて熱々のところを飲食店で味わうのが主流の宇都宮に対して、浜松の場合はテイクアウトして家庭で賞味するほうが多めという、食べるシーンの相違が挙げられています。
工場などが多い企業城下町の浜松では仕事帰りに購入して自宅で夕食のおかずとして味わうことで消費を伸ばしたという説が、広く知られるようになってきました。
起源に関してはご当地双方共に戦後に中国から復員して来た人がつくって販売するようになったということが言われていますが、宇都宮に関してはさらに明確な歴史として伝わっており、第二次世界大戦まで宇都宮師管区とする陸軍第14師団が、現在の中国・満州に駐屯していたことにルーツがあるとされます。
宇都宮餃子の歴史を紐解く
満州には地元で古くから賞味されていた満州餃子があり、当時の日本人はその美味しさが忘れられず戦後日本に引き揚げてからもその味を再現しようと考えた人が少なくなかったことから、一般の人々の間にも次第に広まって行き多くの専門店が各地に登場するようになったと伝えられています。
本場満州では水ギョウザとして茹でたものを賞味するのが一般的でしたが、日本人は米飯が主食だったこともあっておかずになりやすい鍋貼と呼ばれる油で焼いたタイプが好まれ、戦後の日本でもそちらが主流となりました。
さらに1990年には地域ぐるみの街おこしフードとしてクローズアップされるようになり、1994年には駅前にギョウザ像が設置されるほどとなって、それ以降全国的に有名になって行きました。
浜松のほうも広く一般的に賞味されるようになったのは中国からの引揚者が商売として餃子を販売するようになって以降と言われますが、一説にはルーツはさらにさかのぼって大正時代から賞味されていたとされ、全国に先駆けて大正時代から焼きギョウザが主流だったと伝えられています。
地元ではかなり人気もあって連日多くの人が味わいました。
浜松には大正時代から中国人が多く居住していたことから、故郷の味を再現した料理を出す店で既に焼きギョウザが賞味されていたためと考察されています。
あんの肉は少なめで白菜がメインになってる宇都宮餃子
中身のあんも当時は肉のほうが多めながらもキャベツが使われていたと伝わり、現在の肉が多めで野菜はキャベツが主流という浜松スタイルの元になったというのが一般的な通説です。
現在では基本の肉多めのあんに野菜はキャベツのほかニラやネギではなくタマネギが使われているケースが多い点が浜松ギョウザの特徴と言われ、付け合わせに茹でモヤシを添える点も特徴的となっています。
あんに使われる野菜の違いは双方で流通しやすい野菜の種類の違いにもありますが、基本が満州スタイルという宇都宮ではあんの肉は少なめで野菜のほうが野菜が多めに使われておりメインがハクサイになっている点が特徴的と言われます。
本場・満州のレシピがハクサイ中心だったこともあり、基本スタイルに沿った味わいとなっていることから、消費量よりも味自慢バトルになった場合に歴史的にどちらが正統派かという争いにもなってしまい、さらに勝負の行方を複雑にしているともささやかれるようになりました。
宇都宮では肉はあんのメインではなく野菜にほど良い味付けになるから使用しているという考え方で、肉を皮で包んだものを賞味するのではなくあんそのもののジューシーな美味しさをぱりぱりに焼いた皮ごと、熱々のところを味わうものといったスタイルを貫いているとされます。
テイクアウトよりは人気の名店で焼きたてをすぐに賞味するのが魅力
テイクアウトよりは人気の名店で焼きたてのところをすぐに賞味することこそ真の美味しさを体感できるとあって、スーパーマーケットの店頭でお惣菜として焼かれたものや、冷凍品の焼きギョウザも含めた消費量で浜松に負けたとしてもプライドは一向に傷つけられないといった態度を貫いている市民がほとんどと言われます。
その点で言えば物産展などでご当地ギョウザとして全国各地で販売されているものを味わって、本場の味を賞味したと言われることに不満を抱く人も少なくないとされ、多くの市民が地元で味わってほしいと切望しています。
一説に週末に市内を走る電車の車内はニンニクの匂いで満ちていると言われていましたが、名だたる人気店には一般的に車で向かう人が多いとされることから、電車内の匂いの件は都市伝説のようなものとささやかれています。
消費量自慢よりもどちらの都市も味自慢の方向でさらなる発展を続けており、グルメには嬉しい状況だと和商コーポレーションは言及しています。